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縄酔いの宴

猫好きの苦悩

無類の猫好きです。

実家で十数年前から猫を飼いはじめ、

すっかり猫の魅力にはまってしまいました。

猫は見た目もたまらなく可愛いし、ふわふわで柔らかいし、仕草も動きも愛嬌があるし、お布団の匂いがするし、鳴き声は官能的だし…気が強くて媚びないけど、基本人間大好きな動物…太古から人間とうまくパートナーシップを築いてきた。その気まぐれな魅力で、人間を虜にした。可愛さだけで御飯が食べられるのは、猫くらいなものです。

 

猫のどういうところが一番好きかっていうと…

それは、放っておいても平気だからです。

基本、餌とお水、トイレの世話さえすればいい。健康状態さえ気をつけてみてあげれば、特に構わなくてもいい。病気がちな猫ちゃんは大変だけど、実家で飼っている猫は、全くの健康体だから、特に気が楽だった。

構われたい時には向こうから寄ってくる。御飯やお水や遊んで!などの要求も、分かりやすい。お腹いっぱいになったら、さっさと居心地のいい場所を見つけて、寝てしまう。

ホント楽なんですよね、猫は。

気を使わなくていい。

もちろん、壁や柱をひっかいたり、粗相をしたりはするけど…

ほとんど寝てるから、すごく静か。

あまり鳴かないし。

私が寄って行って構っても嫌な時はちゃんと意思表示するし、機嫌がいい時は舐めてくれる。はっきりしている。

犬は構わなくてはいけないのが負担になるし、私みたいなものぐさからしたら、散歩はかなりめんどくさい。

猫は、散歩なんていらない。勝手に一人で遊ぶから。

だから猫は、鬱陶しくない。

うざったいところがない。

どこからどう見ても、何しても可愛い。

それって、すごい。

猫は人間を奴隷だと思っているとか言うけど、

別に猫からしたらそんなことないんだと思う。

ただ素直に気分次第で甘えているだけ。

自然体なだけ。

猫はちゃんと、人に寄り添うことができる動物です。頭がいいし、何気に空気を読むし、なんとなく人間といい距離感をはかれる。

「私の気持ちを分かって」なんて、自己愛を押し付けようとしたら、猫は突っ撥ねるけど。

ただ、ちょうどいい距離感で、一緒にいてくれるだけでいいじゃないか。

人間の思い通りにしたいと思うから、猫は自分勝手でわがままと言われるけど。

それが動物にとって自然な態度なのだ。

動物を人間の都合よく調教しようとするほうが、間違っている。

猫は無理しない。合わせようとしない。

だけど、黙ってそばにいる。

そういうところがいい。

 

猫は他者である。

自分ではどう思っているか知らないけど、猫は自由。自分のペースで生きてる。

人間がコントロールできないという意味で、他者である。

そういう意味では、猫好きは他人に寛容。

自分も、自由でいたい人が多い。

 

猫好き男は、恋愛でも猫のような女に惹かれる。

奔放で気まぐれな女と付き合うのは、気が気じゃない。いつそっぽを向かれるか分からないし、気まぐれなわがままに振り回される。

恋人を自由を認めるという時点で懐が深いし、猫のわがままも快楽と感じる。マゾヒストに違いない。

でも、猫好き男は難しい。

恋愛となると、猫好き男はヤンデレになる場合が多い。

自分の目の届く範囲で自由にされるのはいいけど、勝手に他の男に懐かれるのは嫌なのだ。

結局、彼らが求めるのは室内飼い猫である。

自分の腕の中に閉じ込めておきたい。自分だけに懐く、奔放な猫であってほしい。わがままも自分だけに言って欲しい。飼い主は自分だけでないと嫌だ。

かなり嫉妬深い。

そんな人が多い。

 

 

とある場所に、薄暗い猫カフェがある。

喫茶スペースと猫部屋の間は区切られている。

猫部屋では、十匹くらいの猫がお出迎えしてくれる。珍しくフレンドリーな猫が多い。まるでタコ部屋に閉じ込められたイメクラ嬢のよう… 

しばらく猫を構ったりして遊んでいると、その中の一匹が、媚びを売るように膝に乗ってくる。ここは私のベッドよ!と言わんばかり。

そのまま寛いでゴロゴロしている。

つい可愛くて滞在時間延長を決めると、急に気がそれたのか、

すっと離れて行ってしまった。

え?!

猫の気まぐれというより、計算高いキャバ嬢そのものだった。

よく躾けられている。従業員教育はバッチリじゃないか。

そんなプロ猫がいるなんて!

 

その店の空気は、なぜだか暗くて重い。

常連客も一定数いるようで、自分の根城のように寛いでいる人もいる。

スタッフの若い子に軽口叩いて、我が物顔でいる人もいた。私がいたときは、男性の常連さんが多かった。

そこにいる猫のことについて、常連さんに話しかけた。真面目そうな男の人だった。

しかし、まともに返事をしてくれない。目を合わせてくれない。むしろ避けようとしている。結局シカトされてしまった。なんとなく、コミュ障っぽい大人しめな男性。周りを見渡すと同じような、

オタクっぽい感じの男性客が目立つ。

たまたまそんな日だったんだろうけど、

話しかけても無視って、そりゃないよね。

女に相手をされないから猫を可愛がっているのかな、と、訝しみたくなる。

猫部屋はファンシーな癒し空間という雰囲気ではなく、じとっとした病んでる感が漂っていました。

 

ちなみにそこの店長も、目を合わせてくれない!

接客業なのに、基本俯いたままでお客に対応をしている。客の顔を一切見ない。四十前くらいの男性で、寡黙で真面目そう。悪い印象は持たなかったが、

あまりに見てくれないので気になって、お会計のとき、前のめりに覗き込むように顔をガン見してやった。

いくら視線を送っても、あくまでこちらを見ようとしない。

ちょっとムカついたから、

ごちそうさまでした!

と、あからさまな笑顔で凝視してやった。不自然なくらい愛想をよくしても、

結局、見てくれない。始終、避けようとしている。ちょっと無視気味。

人見知りなのだろうか。

女性不信なのだろうか。

スタッフは女性とは言えない、子供のような年齢の女の子ばかり。

 女が苦手なのか。女に恐怖を感じているのか。

だから猫を偏愛しているのか。

そう勘ぐりたくなるくらいの人見知りっぷり。

考えすぎかもしれないけどね。

 

女を愛せない、猫しか愛せない男はいる。

女のしたたかさ気の強さ、計算高さ、自分勝手さに嫌気がさしたのか。女をグロテスクに感じるのか。女が汚く感じるのか。

女の性欲を嫌悪しているのか。

分かる気がするけど、

人間を愛せなくなるのはつまらないと思う。

 

私も男で傷つくと、もう猫しか可愛くない!と思う。

男なんていらない、薄情で自分勝手で性欲だけで傲慢でわがままで…

男は奪っていくだけだって。

 

だから、猫を可愛がることに安らぎを求める。猫に逃げる。

猫は食べちゃいたいほど可愛いけど、それは喋らないから可愛いのだ。

傷つく言葉を言わないから可愛い。

傷つく態度をとらない、裏切らない、騙さない…

結局、傷つきたくないからなんだよね。

 

猫しか愛せなくなってしまったら…

人とつながることを拒否してしまったら…孤独は潔い場合もあるけど、人は人によってしか救われない。

私も基本人間苦手だから、孤独に逃げたくなるけど、積極的に人と関わることでしか人生の活路は開けないということを実感してます。

傷つき悩むことを乗り越えなきゃ、成長もしない。

猫を愛するものは、猫以外のものを愛する努力をしなくちゃならない。

結構、大変なことです。

それほど猫には吸引力と癒しがある。

 

猫は人生に答えはくれない。

ただ、黙って人に寄り添うだけ。

 

猫は食べちゃいたいほど可愛い。

でも、猫しか愛せなくなったら…